渡辺図鑑 5

 

 


仕事の帰り際、同期に飲み会に誘われた。定期的にしてる職場の飲み会。

悩んだけど、何に対してかもわからないけど、もやもやしてたし、久々に行くことにした。

 

 


同期が、ここのつくねおいしいよって進めるから食べてみたけど、何か違うな〜〜〜〜

 

『なんかこのつくね、しょっぱくない?』

 

周りの皆は口を揃えて、そんなことないよ普通に美味しいよって言う。

 

私がおかしいのかな。

 

 

ちょっと考えたらわかることだった。

しょうたの味付けはいつも薄めだったんだ。

わたし、それに慣れてたからだ。

 

 

 

お酒も久々に呑んだ気がする。でも酔うほど呑めなかったなあ、なんて皆と別れる。

 

 

「「さやかちゃん!最寄り駅まで送るよ!俺ついでだし!」」

 

いつもわたしのこと気にしてくる、いや気にかけてくれる先輩。

 

『いいですよ〜ついでじゃないでしょう。先輩、方向真逆じゃないですか。』

 

「「あ!そうそう友達の家そっちの方にあるのよ!だからどっちにしても同じ電車になっちゃうんだよな〜ついででしょ?(笑)家まで送るよ〜」」

 

 

何回かしているうちに、断る文句もなくなって面倒くさくなったわたしは、今先輩と同じ電車に乗って帰っている。

 

 

 

 

 


-----------------------------------

 

 

 

もうご飯もできたし、もうすぐさやかが帰ってくる時間だ。

さやかとは夜中のままだし、ずっとなにか気になってて。

さやか、おれ、昨日さやかが泣いてたの知ってるよ。おれに見せなかったけど。

 

 

 

「…今日は遅いのか?」

 

もうとっくにいつも帰ってくる時間を過ぎている。
昨日の今日だから心配にもなる。

 

 

おれは時計をみて家を出た。

 

 

駅につけばいっぱい人が改札から出てくるのに、さやかはいない。

 

「さやかいないじゃん。…なにしてんだよ。」

 

ひとりで呟いたところでどうにもならないから、改札の横の壁にもたれて待ってることにした。

 

それから、なんこも電車がくるけど、さやかは降りてこない。

おれ、なんかどんどんイライラしてきちゃったな〜なんて。

 

 

「…はーあ。」

 

 

ため息は人混みに消える。