渡辺図鑑 4

 

 


しょうたは駅の近くのコンビニでバイトしてる。

ほんとにきちゃった…とりあえず外から覗いてみるけど、見えないな。どこだろ。

 

ちょっと移動したらレジから出てくるしょうたが見えた!と思ったら、その後を追うように女の人が楽しそうに出てきた。何か話してるのかな。

 

外にいるのも怪しいし中に入った。
わたしが入るとベルがなって、しょうたがこっちも見ずに少しだけダルそうにいらっしゃいませって。

 

女の人は従業員入口の近くの飲み物売り場にいて、ハンカチはあの人のだろうな、ってなんとなく自分の中で思った。女の勘ってやつ?


ばれないようにじっと見てたら、しょうたが従業員入口のほうにきた。

 

(あ、やばいっ)

 

女の人が何か話しかけてる。気になって覗いてしまう。

 

「「ねえ!わたなべくん、ちゃんとハンカチ使ってくれてるー??」」

 

「使ってますよ。」

 

「「そうなんだ〜気に入ってくれた?よかった〜。」」

 

「はい、ありがとうございます。」

 


しょうた、わたなべって名字なんだ…。あの人はしょうたの名字知ってるんだ。そらそうだよね。


ハンカチ、やっぱりこの人から貰ったんだね。

 

(っ!)

 

じっと考えてたら、しょうたと目があってしまった。絶対にばれた。早く帰ろう。

急いで出口に向かう。けどもう遅かった。

 

目の前にしょうたが通せんぼするかのように立っている。

 

『、、、、、。』

 

「なんで来たの?」

 

そんな質問に答えられずに俯く私。ちょうどそこにいいタイミングでお客さんが入ってきた。その一瞬の隙にわたしはコンビニから出た。

 

「っちょ、さやっ…」

 

わたしはただ早歩きで家まで歩いた。すっごくもやもやする。なんでわたし来たんだろう。何しに来たんだっけ。
なんてただスタスタ歩いてたら後ろから声がする。

 

「…さやか!!おい…おい!ちょっと待てよ!!」

 

しょうたのいつもと違う声にびっくりしながらも、もやもやしてることが勝っちゃって、多分わたし今すっごい顔してると思う。

そんな顔で振り向いたら、形相変えたしょうたが自転車から降りてこっちを向く。

しょうた、多分怒ってる。こんな顔みたことない。

 

 

 

「…なんで、なんでひとりでこんなとこまできてんの?しかも歩いて。女の子がこんな夜中にひとりで外歩いちゃだめでしょ?」

 

『、、、、、、。』

 

 

なんも言えない。し、今は何も言いたくない。

 

 

「この自転車、乗って帰れ。危ないから。」

 

 

何も言わないわたしの目の前に自転車を置くけど、わたしは今しょうたの言うことなんて聞きたくない。

 

 

『……いい。いらない。』

 

「いいから。」

 

 

しょうたの顔も、声も、いつもと違う。別人みたい。悔しいけど、自転車の持ち手を掴んで、方向転換した。

 

歩こうとして、しょうたのほうを振り返ったら、しょうたがさっきとはまた違う顔でこっちを見てる。

 

「…も〜。さやかが早く帰ってくれないと、おれバイト戻れないじゃん。」

 

そんなこと、いつもと違う笑顔で言うから、悔しいのに、悔しいのに我慢してた涙が溢れてくる。自分でもわかんない。

しょうたに背中を向けてから、わたしは泣きながら家まで帰った。

 

 

 

 

次の日朝起きたら、しょうたは寝てた。
相変わらずお弁当は綺麗に包んで置いてくれてる。

 

 

夜中のことがあってからしょうたと話すことなく仕事に行った。