渡辺図鑑 2

 

 

 

私は毎日家に帰るのが楽しみになった。

飲み会に行くより早く家に帰りたかったし、しょうたの作るご飯が本当に美味しかったから。
しょうたには食費と生活費として5万円渡した。遠慮がちに受け取ってたけど。

 


今日は残業で帰るのが遅くなった。

 

『ただいま〜〜しょうた〜?』

 

「あ、おかえり!さやかきょうは遅かったね。」

 

 

いつも笑顔でおかえりって言ってくれるしょうた。1日の疲れもとれそうな笑顔。美味しそうないい匂いも、私を迎えてくれる。
今日は、いつにもなく忙しそうなしょうた。

 

『ん?しょうたどこか行くの?』

 

「んー!おれバイトきまったんだ。今からいってくる。」

 

『っえ、今から?今日から行くんだ??』

 

「善は急げって言うっしょ(笑)んーだからさやかと会える時間帯もここぐらいかなぁー、あ!晩ご飯そこに置いてるから。ちゃんと朝帰ってきたらお弁当も作っとくからね。んじゃぁ、いってきます。」

 

『ありがとう〜。いってらっしゃい。あ、しょうた!がんばってね。』

 

「ん!(笑)」

 

 

ドアが閉まってから、いつもとは逆なのも悪くないなあ、なんて思った。しょうたがかわいくいってきますなんて言うから(笑)

 

次の日の朝、テーブルにはちゃんと包まれたお弁当が置いてあった。

 

 

 

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今日は久しぶりに上司に怒鳴られた気がする。

 

だからか、すっごく疲れた。いつもよりぼーっとしたまま家の近くまで帰ってきた。

 

 

「さやか。今かえり?おつかれさま。」

 

商店街をとぼとぼ歩いていると、後ろからしょうたが駆け寄ってきた。

 

『びっくりした。今かえりー。ありがとう。』

 

 

「さやか、なんか元気ない?」

 

『んーちょっとね。』

 

しょうたはすぐに気づいてくれるんだなあ、なんて思ってると、ガサガサとポケットから何か取り出してはわたしに差し出している。

 

『…入浴剤??くれるの?ありがとう。』

 

「さっき駅で配ってたから貰った。」

 

優しい笑顔でこんなことしてくれて、今までひとりだったわたしは、すっごく嬉しくて。

 

 

少し前を歩いていくしょうたが振り返る。

 

 

「さやか、がんばれ。って入浴剤も言ってるよ。(笑)」

 

 

なんか嬉しくて、自分で笑ってるしょうたがおかしくて、今度は笑いながらわたしがしょうたに駆け寄った。

 

 

『しょうた、今日のご飯なにー?』

 

「今日はね、カレー。」

 

『カレー?あ、わたしもうカレーの口になった!カレーの口だよ!』

 

「もうなったの?早ぇな。(笑)」

 

 しょうたがいれば、上司に怒られるのも怖くない。本当に癒される。

 

帰ってきたら家でわたしを迎えてくれる、ただの同居人。

 

 

 

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3月、少し暖かくなってきた。
今日は仕事はお休み。朝起きるとキッチンからいい匂いがする。

 

「おはよう、さやか。」

『しょうたおはよう〜』

 

美味しい朝ごはんを一緒に食べて、2人でたくさん笑う。人といることってほんとに幸せ!

しょうたも今日はバイトもなかったみたい。

 

「さやか、ちょっと来て来て。」

 

しょうたに自転車置き場に連れて行かれる。
何かと思ったら、

 

「じゃーん、プレゼント!おれと〜さやかの自転車!自転車乗れる?(笑)」

 

『えー!??いいの?おそろい?乗れる!!!』

 

なんとしょうたからプレゼント…!嬉しくて笑っちゃう…

 

「さやか!今から自転車でおでかけしよ!」

 

 

ってことで2人で自転車でちょっと遠くの河原にきた。そこには花も草もいっぱいで、しょうた曰く美味しく食べられる草がたくさんあるらしい(笑)

 

 

「これは〜スーパーで買ったら高いんだよ。ここでだったらタダだよ、さやか、タダに弱いっしょ?(笑)」

 

『タダ!?はい!わたしタダに弱いです!(笑)いっぱい採らないと〜〜!!!』

 

 

草の正しい採り方も教えてくれる。草の名前も。しょうたは草の先生みたい。

 

 


帰ったらしょうたは、今日採った草たちで美味しいご飯を作ってくれた。

次の日のお弁当には、昨日の草で作った晩ご飯の残りが入っていた。おいしい(笑)

 

『ん?なにこれ?』

 

お弁当箱の下から紙がでてることに気づいた。

 

”次の狩りまで あと5日!!”

 

『狩りって、(笑)』

 


それからは定期的に、2人で自転車にのって”狩り”に行くようになった。